各務原市の歯科・歯医者なら、わかば歯科クリニック

電話予約
WEB予約

お知らせINFORMATION

わかば便り

歯茎の腫れについて

歯茎の腫れは、歯科領域で非常によく見られる症状のひとつであり、その背景にはさまざまな原因が存在します。単純に「腫れている」といっても、痛みの有無や出血の有無、晴れの範囲や持続期間などによって考えられる疾患は異なります。ここでは、歯茎の腫れの主な原因、症状、治療法、予防策などについて詳しく解説します。

1.歯ぐきが腫れる主な原因

①歯周病(歯肉炎・歯周炎)

最も一般的な原因は歯周病です。歯周病は、プラーク(歯垢)に含まれる細菌が歯茎に炎症を引き起こし、進行すると歯を支える骨(歯槽骨)まで破壊される病気です。初期段階の歯肉炎では、歯茎が赤く腫れたり、歯磨き時に出血したりします。進行すると歯周炎となり、歯茎の腫れが強くなり、膿がたまることもあります。

②智歯歯周炎(親知らずの炎症)

親知らずが部分的に生えている場合、その周囲に食べ物のカスや細菌がたまりやすく、炎症を起こしやすくなります。これを智歯歯周炎と呼び、典型的には下の奥歯の周囲が腫れて痛みを伴い、口が開きにくくなることもあります。

③虫歯による歯髄炎・根尖性歯周炎

虫歯が進行して歯の神経(歯髄)まで達すると、炎症が歯の根の先に波及(波紋が広がるように、影響が徐々に及んでゆくこと)し、根尖歯周炎を引き起こします。この場合、歯茎の一部が局所的に腫れたり、膿の出口ができることがあります。

④外傷や不適合や補綴物

義歯や被せ物、詰め物が合っていないと、慢性的に歯茎が刺激を受けて炎症を起こすことがあります。また、強い噛みしめや歯ぎしりによっても歯茎に負担がかかり、腫れにつながることがあります。

⑤全身的要因

糖尿病、ホルモンバランスの変化(妊婦、思春期、更年期など)、免疫力の低下なども歯茎の炎症を悪化させやすい要因です。薬剤(降圧剤や抗てんかん薬など)による副作用で歯肉が腫れることも知られています。

2.歯茎の腫れに伴う症状

・痛み:炎症の強さや感染の有無によって鈍痛から激痛まで幅があります。

・出血:歯磨きや咬合痛時に血が出ることが多いです。

・膿の排出:歯周炎や根尖性歯周炎では膿がたまり、口臭の原因にもなります。

・口臭:最近の活動や膿の存在によって強い臭いを伴うことがあります。

・全身症状:重度の場合、発熱やリンパ節の腫れを伴うこともあります。

3.歯茎の腫れの治療法

治療は原因に応じて異なりますが、以下のような対処が一般的です。

①歯周病が原因の場合

・専門的な歯石除去(スケーリング)

・歯磨き指導によるセルフケアの改善

②智歯歯周炎の場合

・消毒、洗浄、抗菌薬の投与

・炎症が落ち着いた後に抜歯を検討

③根尖性歯周炎の場合

・根管治療(歯の神経を取り除き、根の内部を清掃・消毒)

・膿の排出処置

・保存が難しい場合は抜歯

④補綴物や外傷が原因の場合

・不適合な被せ物や入れ歯の調整

・噛み合わせの改善

⑤全身的要因による場合

・基礎疾患のコントロール(例:糖尿病治療)

・医科と歯科の連携による治療

4.自宅でできる応急処置

・丁寧な歯磨き(ただし強くこすらない)

・塩水でのうがい(殺菌・消炎作用)

・冷たいタオルで腫れた部分を冷やす(熱がある場合に有効)

・鎮痛薬の服用(市販薬も一般的に使用可能)

ただしこれらは一般的な対処であり、根本的な治療には必ず歯科医院の受診が必要です。

5.予防策

・毎日の正しいブラッシングとフロスの使用

・定期的な歯科検診とクリーニング

・食生活の改善(砂糖の摂取を控える)

・禁煙(喫煙は歯周病を悪化させる最大のリスク因子のひとつ)

・規則正しい生活と全身疾患の管理

まとめ

歯茎の腫れは、軽い炎症から重度の感染まで幅広い病態を示します。原因の多くは歯周病や親知らず、むし歯など身近なものですが、放置すると歯の喪失や全身への影響につながることもあります。したがって、早期発見・早期治療が非常に重要です。腫れが数日続く場合や強い痛み、膿、発熱を伴う場合は、できるだけ早く歯科医院に受診することをお勧めします。